2012年06月29日

VLC Media Playerと著作権法との関係

無料なのでWindowsばかりかLinuxでも愛用しているVLC Media Playerというマルチメディアプレイヤーを配付すると、著作権法による罰則を受けるらしい。
さらに言えば、VLC Media Playerに限らず、Media Player ClassicMPlayer系などDeCSSという市販DVDを観るために必要なプログラムを内包する、ごくごく普通のフリーウェア・フリーソフトたるマルチメディアプレイヤーすべてに該当するらしい。
これはフリーウェア・オープンソース業界にとって「なんじゃそりゃ」だし、ホスティング・クラウド業界からすれば「日本から出てけってか」だし、コードのコア部分がたった数十行のプログラムを配付しただけで3年以下の懲役若しくは3百万円以下の罰金とは胸熱だ

どうしてこうなったかと言うと、対象プレイヤーのlibdvdcssなどDeCSSが、著作権法の技術的保護手段の回避を行うことをその機能とするプログラムに該当し、かつ、対象プレイヤーの映像キャプチャ機能が、同法の著作権等を侵害する行為を技術的保護手段の回避により可能とする用途に供するために行うものに該当するおそれがあるから。
したがって、対象プレイヤーを譲渡や貸与を目的に所持していたり、そのインストールファイルをみんなが接続できるサーバに置いといたり(送信可能化)するとヤバい。
しかも配付による罰則が、3年以下の懲役若しくは3百万円以下の罰金に処しとは、児童ポルノの提供並み、いや、併科があるからそれより重い罰則じゃないか、アグネスも真っ青だ。
加えて非親告罪、つまり、被害者の告訴を必要としない。
また、アウトだとしてもこんな微罪(著作者の諸権利や利益をほぼ侵害しておらず、悪質でないが違法であること)で個人をしょっ引くとは到底考え難いんだろうけど、これが法人なら、「下手すりゃ違法だけど微罪だから大丈夫じゃね?」といって放っておくってコンプライアンス的にリスクあるよね、と監査人、株主又は融資元の銀行が思わないだろうかと心配する経営者が出てくるかも知れない。
結果、前述のフリーウェア・オープンソース業界やホスティング・クラウド業界、具体的に言えばベクター窓の杜は対象プレイヤーを配付してるけど大丈夫か、って話も出てくるだろう。

なお、余談だが、CSSという技術的保護手段のかかったDVDから、DeCSSで当該手段を回避しリッピングするだけが違法とは限らず、同様に前述のとおりキャプチャショットの画像を撮っても、私的複製と認められず、刑事罰はないが違法となるおそれがある。
逆に言えば、譲渡や貸与を目的に対象プレイヤーを所持しておらず、かつ、対象プレイヤーのインストールファイルを公開している場所に置いていない、つまり、対象プレイヤーを個人的にインストールして起動し、DVDを視聴するだけで、映像キャプチャのボタンやショートカットキーをポチらないなら問題ないっぽい。

ちなみに、平成24年10月1日以後の著作権法で、定義と罰則規定は次のとおりになってる。
それに、小生は法律家でないどころか大学で法学の単位を落としたことすらあるんでwww、法解釈の部分は話半分で読んでほしい

著作権法(昭和45年5月6日法律第48号)(抄)

(定義)
第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一〜七 略
七の二 公衆送信 公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信(電気通信設備で、その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が2以上の者の占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信(プログラムの著作物の送信を除く。)を除く。)を行うことをいう。
八〜九の三 略
九の四 自動公衆送信 公衆送信のうち、公衆からの求めに応じ自動的に行うもの(放送又は有線放送に該当するものを除く。)をいう。
九の五 送信可能化 次のいずれかに掲げる行為により自動公衆送信し得るようにすることをいう。
イ 公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置(公衆の用に供する電気通信回線に接続することにより、その記録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分(以下この号及び第47条の5第1項第1号において「公衆送信用記録媒体」という。)に記録され、又は当該装置に入力される情報を自動公衆送信する機能を有する装置をいう。以下同じ。)の公衆送信用記録媒体に情報を記録し、情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体として加え、若しくは情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体に変換し、又は当該自動公衆送信装置に情報を入力すること。
ロ その公衆送信用記録媒体に情報が記録され、又は当該自動公衆送信装置に情報が入力されている自動公衆送信装置について、公衆の用に供されている電気通信回線への接続(配線、自動公衆送信装置の始動、送受信用プログラムの起動その他の一連の行為により行われる場合には、当該一連の行為のうち最後のものをいう。)を行うこと。
十〜十九 略
二十 技術的保護手段 電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法(次号において「電磁的方法」という。)により、第17条第1項に規定する著作者人格権若しくは著作権又は第89条第1項に規定する実演家人格権若しくは同条第六項に規定する著作隣接権(以下この号において「著作権等」という。)を侵害する行為の防止又は抑止(著作権等を侵害する行為の結果に著しい障害を生じさせることによる当該行為の抑止をいう。第30条第1項第2号において同じ。)をする手段(著作権等を有する者の意思に基づくことなく用いられているものを除く。)であつて、著作物、実演、レコード、放送又は有線放送(次号において「著作物等」という。)の利用(著作者又は実演家の同意を得ないで行つたとしたならば著作者人格権又は実演家人格権の侵害となるべき行為を含む。)に際しこれに用いられる機器が特定の反応をする信号を著作物、実演、レコード又は放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像とともに記録媒体に記録し、又は送信する方式によるものをいう。

(ざくざくっと中略)

第120条の2 次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役若しくは3百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
1 技術的保護手段の回避を行うことを専らその機能とする装置(当該装置の部品一式であつて容易に組み立てることができるものを含む。)若しくは技術的保護手段の回避を行うことをその機能とするプログラムの複製物を公衆に譲渡し、若しくは貸与し、公衆への譲渡若しくは貸与の目的をもつて製造し、輸入し、若しくは所持し、若しくは公衆の使用に供し、又は当該プログラムを公衆送信し、若しくは送信可能化する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあつては、著作権等を侵害する行為を技術的保護手段の回避により可能とする用途に供するために行うものに限る。)をした者

(ざくっと中略)

第123条 第119条、第120条の2第3号及び第4号、第121条の2並びに前条第1項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

追記(2012年7月5日)
なんかすごい読み辛い文章だったので、順番を変えるなど修正した。
あと、やっぱ間違ってるっぽい(けど、恥を忍んで消さないお)。
日本でも合法的にLinuxでDVDを見ることはできます。 - いくやの斬鉄日記」によれば、DeCSSの配付は以前から不正競争防止法の違反になっていたとのこと。
でも経産省が例によって、所管する不正競争防止法でもって違法コピー問題に先にいっちょかみしてきたんで、文科省が、所管する著作権法でやり返した可能性もなくはないとも言えるかも知れない、って憶測で物を言ってみた。
あと「日本ではLinuxでDVDを見れなくなります。」ってのは、本文に比して表題をはしょり過ぎだと思う。
はしょらずに言えば、「素でDVDを見れるLinuxなどUnix系OSの国産無料ディストリビューションは存在し得なくなります。海外産でも国内サーバでミラーされなくなります。」だろう、表題にしては長過ぎるけど。

不正競争防止法(平成5年5月19日法律第47号)(抄)

(定義)
第2条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
一〜十 略
十一 他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録をさせないために営業上用いている技術的制限手段により制限されている影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録(以下この号において「影像の視聴等」という。)を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置(当該装置を組み込んだ機器及び当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを含む。)若しくは当該機能を有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を当該特定の者以外の者に譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、又は当該機能を有するプログラムを電気通信回線を通じて提供する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあっては、影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする用途に供するために行うものに限る。)

(ざくっと中略)

(罰則)
第21条 略
2 次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役若しくは5百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する
一〜三 略
四 不正の利益を得る目的で、又は営業上技術的制限手段を用いている者に損害を加える目的で、第2条第1項第10号又は第11号に掲げる不正競争を行った者

1
m_hiro at 01:06 :Comments(0),TrackBack(0)
Categories : 日記/一般コンピュータ
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Clip to Evernote

コメントする

このブログにコメントするにはログインが必要です。

トラックバックURL